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日々感じること。心のままに。 私の病気の事、仕事やプライベート、心の中の事をありのままに。

おふくろの味


『 ママ、おばぁちゃんの味の、ほうれん草のお浸しが食べたいねん。あのお出汁の味がいいねん。』


急に言われて、ドキッとした。
そうだよね。ごめんね。あのお出汁の味ね。
ママ、おばぁちゃんに習っとかないといけなかったね。



隆真が幼稚園の頃の4年間、私達3人は私の実家で両親と同居していました。
その時は母がまだ元気で、孫の為に日々食事をしてくれていたのです。
添加物は良くないからと、ほぼ何でも手作りでした。
隆真が何でもよく食べ、好き嫌いが全くないのは母のお陰です。



うちには母の秘伝のお出汁があって、全ての料理がそのお出汁ベースで出来るという万能出汁がありました。
鰹節や昆布にもこだわって、寸胴鍋で何時間もかけてコトコトと煮出した濃縮出汁。
私も生まれた時からこの味で育ってきました。



母が体調が悪くなって台所に立てなくなる前に、伝授して貰えばよかったのに。
今更なんだけどね。とても残念。



* * * * * * * *



私がまだ小学生の頃、近所にハンバーガーショップが出来て、私はどうしてもそれが食べたいと言うと、母は作ると言うのです。
無添加のパン屋さんのバンズを買ってきて、牛肉をミンチにしてパテを作り、レタスもトマトも分厚くて(笑)
100%オーガニックのハンバーガーの出来上がりです。

『 いや違うねんよ、ママ。私はファストフードのペチャンコのハンバーガーが食べたいねん!』



カップラーメンももちろん食べさせてもらえなかったので、私にはカップヌードルが憧れの存在でした(笑)
ラーメンが食べたいと言うと、鶏ガラや豚骨、もちろんスープからじっくり製作です。
ここの中華麺が手打ちで美味しいからと、チャーシューも紐で縛って、もう全て手作りです。

『 違うねんママ、私はお湯かけて3分のが食べたいの! こんなんが食べたいんとちゃうから 』



母は何でもこだわる人でした。
今から思えばとても贅沢だったのかもしれないけれど、いつもクッキーやパウンドケーキがおやつだったし、できる限り手作りのもので私は育っています。



でもあの頃は、それが本当に嫌だったのです。
お友達が食べてるポテトチップスや、ファンタが飲みたかったの!
いやでも…忙しい人だったのに、いつそんな事をする時間があったのだろう。



* * * * * * * *



大人になったら、自分で買えるようになったら、全部買って食べよう!ってずっと思ってきたけど、大人になって初めてその有り難みが分かったのです。



母がどんな気持ちで、私達に食べさせてくれてたのか。
それなのに、私にはそれが分からなくて、料理を母から習わなかったのです。
あぁ、あのお出汁だけは教えて貰えば良かったなと。
後の祭りです。



【 おふくろの味 】っていいよね。
私は、隆真に何ものこせていないなぁ。
隆真が『 これは美味い 』って言ってくれるものを、作りたいなぁ。